教授
藤井 努
ご挨拶を申し上げます。当教室の教授職を拝命しております、藤井 努と申します。本稿を読んでくださることに深く感謝申し上げます。
消化器・腫瘍・総合外科(第二外科)は、消化管外科(食道・胃・大腸)、肝胆膵外科(肝臓・胆道・膵臓)、乳腺科・内分泌外科(乳腺・甲状腺・副腎)、小児外科を担当しており、最先端の高度医療を行っております。私が当教室に着任して5年間が経過しました。着任時のご挨拶では、「安全な治療で病気を治す」と抱負を述べさせて頂きましたが、この5年間を振り返ってみますと、その目標は達成できたかと思います。
患者さんの体に優しい低侵襲手術は積極的に導入して参りました。2018年6月に富山県で初めてのロボット支援下直腸切除術を導入し、その後に富山県で初めてのロボット支援下食道手術を導入し、北陸甲信越では初めての術式としてロボット支援下膵臓手術、ロボット支援下肝臓手術、ロボット支援下鼠径ヘルニア手術と立て続けに導入して参りました。ロボット支援下胃切除手術も含めて、北陸の低侵襲手術を率先して牽引してこられたかと思います。すべては、手術後の患者さんの体調や生活の質までも考えた結果です。内視鏡外科技術認定医も2022年現在は9人が在籍しています。
またしかし、大学病院ならではの高度医療も積極的に行っております。私の専門とする膵切除手術は、2019年から3年連続で年間100件を超えました。膵癌手術件数も昨年は全国で12位となり、東京や大阪の施設に肩を並べており、また北海道や九州からも患者さんがお越しになっています。しかし入院や治療をお待たせすることはなく、早ければ受診の翌週にも入院の準備ができています。肝胆膵外科学会高度技能医を2022年現在で6人を有している施設は全国でも有数です。さらに病院総力体制で行う必要のある肥満症外科手術、各種の腹腔鏡や胸腔鏡手術、日本で数施設しか行われていない縦隔鏡下食道切除、動脈や門脈を合併切除する肝胆膵手術、傷を小さく行う鏡視下甲状腺手術など、当院ではすべての技術を有していると言っても過言ではありません。また大学病院ならではの癌治療における特殊な治験、日常臨床を進歩させるための臨床研究、新たな治療を開発するための基礎研究も積極的に行っています。そして胆石症や鼠径ヘルニアなどの標準手術もお断りをすることは無く、確実かつ安全に行っております。手術件数は私の着任前から約2倍となり、年間1000件を超えております。虫垂炎や腹膜炎などの緊急手術も市中病院同様に行っておりますので、どうぞご安心ください。多臓器に重度な基礎疾患のある症例、または他院で切除不可能とされ転院してきた高難度手術も多数手がけており、文字通り「最後の砦」として機能できていると自負しております。
明治・大正の政治家であり医師でもあった後藤新平の残した言葉にこのようなものがあります。「財を遺(のこ)すは下、仕事を遺すは中、人を遺すは上」。これに習った訳では無いですが、私の外科医人生の最後の責務・使命は、「人を遺すこと」であります。一人でも多くの「良い」外科医・医師を育てたいという気持ちは富山に着任して以来変わっておりませんし、これからも変わることはありません。これからも、最高の医療を最高に安全に行い、最高の医療者を育成していきたいと思います。
まず、ご挨拶を申し上げます。この度、平成29年4月1日付をもちまして当教室に着任致しました、藤井 努と申します。本稿を読んでくださることについて、深く感謝いたします。
富山大学消化器・腫瘍・総合外科(第二外科)は、消化管外科(食道・胃・大腸)、肝胆膵外科(肝臓・胆道・膵臓)、乳腺科・内分泌外科(乳腺・甲状腺・副腎)、小児外科を担当しており、最先端の高度医療を行っております。私たちは、患者さんの真のご要望は「安全な治療で病気が治ること」だと思っています。手術を担当させて頂く以上、それは必ず「安全」でなければならない。私たちはどこよりも危険の少ない術式、治療方法を常に目指します。事実、私は、どの術式よりも合併症率の高いとされる膵臓手術において、前任地では世界でも屈指の良好な成績をあげてまいりました。この姿勢は現在の富山大学でも同様で、日本一安全な手術の提供を当然の責務と考えております。退院後、1年後、5年後、10年後の患者さんの体調や生活の質までも重視した手術を行って参ります。
しかしまた、安全性の数字ばかりを追求するわけではありません。大学病院ならではの難しい手術、厳しい治療も、患者さんの状態をしっかりと見極めながら、先進・高度医療を積極的に行います。そのためには高度な技術と最高の専門的知識が必要です。私たちは常に技術を研鑽するとともに、最先端の知識を入手し、全ての医療に向上心を持って取り組んでいます。さらに、他施設の医療を追随するだけなのではなく、大学病院としての臨床研究および基礎研究にも力を入れており、最先端の医療を世界に向けて発信し、世界をリードする存在を目指し続けています。一般の病院ではできない、特殊な治療を行うことができるのも、大学病院の利点の一つであると思います。
上述のような「安全かつ高度な医療」は、専門家が揃った大学病院にしか行い得ない状況も多々あります。私が市中病院ではなく、大学病院で外科医を続けているのは、それが明らかだからです。消化器内科、放射線科、麻酔科、感染制御部、化学療法部、集中治療部、手術ロボット・高度医療を行うことのできる全ての診療科を富山大学は備えています。また当教室には、日本外科学会指導医、日本消化器外科学会指導医、日本肝胆膵外科学会高度技能専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医、食道外科専門医、乳腺専門医、日本小児外科学会指導医などの専門家が診療を担当します。
また、地域医療も富山大学の重要な任務と考えております。富山県唯一の医学部として、富山県全体の病院・クリニックの先生方とも共同しながら、富山県全体の外科医療に責任を持ってあたっていきたいと思っております。
富山県は新幹線のおかげで東京へのアクセスが大変良くなりました。また今後は関西へも行きやすくなりそうです。しかし私は、関東・関西にわざわざ行く必要のない、日本最高の外科治療を、日本の中心に位置するこの富山県で行います。もちろん、セカンドオピニオンなどで他施設の説明を聞きに行って頂いて構いません。そのうえでも、「やはり富山大学がいい」と思って頂けるように十分説明させて頂きますし、皆様のご期待に応えられる最高・最新の治療を提供致します。今の大学病院は、以前のような堅苦しくて冷たいところではありませんので、ぜひお気軽にご相談にいらして下さい。